書評
—木本誠二 編著—医学・生物学のための実験外科ハンドブック
近藤 芳夫
1
1東大分院
pp.843
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202423
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近代医学,なかでも近代外科学が動物実験を基盤として発達してきたことはまぎれもない事実である。とりわけ戦後,飛躍的な発展をとげた心臓血管外科・人工臓器・臓器移植などの分野は,実験外科学の花形として臨床応用と一体不離の関係にあり,明日の新しい手術法,治療手段は今日の動物実験の成功から生まれてくるといつても過言ではなかろう。
実験外科学と臨床外科学の相互間のあり方については,アメリカの一部の大学にみられるようにこれを分離すべきであるとの意見もあるが,わが国の現状は次代の外科をになうべき若い臨床家が同時に実験外科の推進役となつており,その当否は別として窮極の目標が臨床応用にある以上,その意義・必要性を的確にとらえた臨床家によつて進められた実験がより実りの多いものとなる可能性も否定できないであろう。
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