海外だより・1
ラドクリッフ病院(オックスフォード)にて—1—
佐藤 文明
1,2
Fumiaki Sato
1,2
1東京大学医学部脳神経外科
2現在Department of Neurological Surgery, Radcliffe Infirmary
pp.608-609
発行日 1963年6月1日
Published Date 1963/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201491
- 有料閲覧
- 文献概要
横浜→シンガポール→ロンドン→オックスフォード
横浜からロンドンまで40日以上かかる船旅は,金がなくてひまのある者にとつてはつごうがよい。途中で珍らしいものが見られるし,だんだん目的地に近づくのでしだいに外国馴れがしてロンドンについた時ドキドキしなくてすむという利点がある。シンガポールは魅力的な街で,英国植民地の美しい面影がよく残つている。ほとんど赤道直下なのに,わりあい涼しい。シンガポールのGeneral Hospitalに友人(東大整外の山崎氏)がつとめているので見学させてもらつた。病院の組織は英国式だから,英国に行く前の予備知識を得るのに役だつた。香港その他各地で大きな新しい病院がぞくぞく建設中である。英国の医師は,このような旧植民地の病院に高給で迎えられている。
英国に行くのには新しい高級カメラを持つて行かないほうがよい。ロンドンの税関はうるさいので,原則として新しい(1年以内の)カメラは課税される。at randomにsamplingするからかならずしもひつかかるとはかぎらないが,ひつかかつた時,せつかくの英国の印象が悪くなつては損である。英国は香港にしろアデン,ジブラルタルにしろ麻薬でもダイナマイトでもおおつぴらにだしいれできるような港をたくさん作つておいて本国だけは厳重にとりしまるというなかなか味なことをやつている。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.