Japanese
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研究と報告
森田療法による対人恐怖の治癒過程—臨床認知心理学的見地からの解析
A Recovery Process of Social Phobia Treated by Experience-learning of Morita Theory: analysis from the viewpoint of clinical cognitive psychology
梅野 一男
1
,
玉井 光
2
,
田代 信維
1
Kazuo UMENO
1
,
Koh TAMAI
2
,
Nobutada TASHIRO
1
1九州大学医学部神経精神医学教室
2産業医科大学精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kyushu University
2Department of Psychiatry, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
Morita therapy
,
Social phobia
,
Recovery process
Keyword:
Morita therapy
,
Social phobia
,
Recovery process
pp.1209-1216
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405905045
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【抄録】森田療法は神経症の治療に有効であり,特に対人恐怖(社会恐怖の亜型)の治療に有効性が高いが,その治癒過程の理論的裏付けが乏しい。そこで我々の精神機構モデルに加え,Maslowの5段階欲求理論を援用して,その治癒過程の分析を試みた。
自助組織「生活の発見会」で森田理論を学習し,実生活場面で実践し,神経症を克服している社会恐怖(DSM-IV)と診断された80症例(男性40例,女性40例)を対象とした。
思春期から青年期に対人関係において,「所属と愛情の欲求」(45例)か「自我尊厳の欲求」(35例)の挫折を契機に発症していたが,8〜13年間悩んだのち,「生活の発見会」に入会していた。入会後,約5年で1段階高次の欲求レベルに到達し,他人に対する恐怖や恥は軽快するか,完治していた。また対人恐怖は認知的評定から意志決定への過程に問題があり,不安回避行動とマイナス欲求が,認知的評定に影響を与えていることが示唆された。
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