Japanese
English
研究と報告
分裂病と誤診されていた慢性脳炎の1例—持続性髄液細胞増多を示す慢性脳炎
A Case of Chronic Encephalitis Mistaken as Schizophrenia: chronic encephalitis with persisting pleocytosis
丸井 規博
1
,
深尾 憲二朗
1
,
岡江 晃
1
,
扇谷 明
1
,
水谷 江太郎
2
,
川西 健登
2
,
吉岡 隆一
3
Norihiro MARUI
1
,
Kenjiro FUKAO
1
,
Akira OKAE
1
,
Akira SENGOKU
1
,
Kotaro MIZUTANI
2
,
Taketo KAWANISHI
2
,
Ryuichi YOSHIOKA
3
1京都大学医学部精神神経科学教室
2京都大学医学部神経内科学教室
3大津赤十字病院
1Department of Psychiatry, Faculty of Medicine, Kyoto University
2Department of Neurology, Faculty of Medicine, Kyoto University
3Ohtsu Red Cross Hospital
キーワード:
Chronic encephalitis
,
Schizophrenia
,
ELISA
,
Fetal infection
,
Viral encephalitis
Keyword:
Chronic encephalitis
,
Schizophrenia
,
ELISA
,
Fetal infection
,
Viral encephalitis
pp.1279-1286
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904979
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【抄録】 症例は27歳,男性。16歳時に幻覚妄想状態にて発症,激しい興奮・自傷行為があるためほとんど入院にて経過していた。約10年間,精神分裂病の診断は変更されていなかったが,頭部CTにて顕著な大脳萎縮に気づかれたことをきっかけに脳器質疾患の検索が開始され,持続性髄液細胞増多が確認されたため慢性脳炎と診断が改められた。髄液培養により一般細菌,真菌,結核菌による脳炎は否定され,抗体検査からトキソプラズマ,梅毒,ボレリア脳炎も否定された。髄液ウイルス抗体価はELISA法にて数種のウイルスにつき陽性であるが,起因ウイルスは確定できていない。精神病理学的には分裂病と鑑別することは困難であり,回顧的には本例の生来性難聴に注目する以外には鑑別診断の端緒がなかったと思われる症例である。文献的にも検討し,本例は胎内感染・思春期不顕性発症の慢性ウイルス脳炎ではないかと推定した。
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