動き
「第4回日本神経精神医学会」印象記
三山 吉夫
1
1宮崎医科大学精神医学
pp.898-899
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904831
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第4回日本神経精神医学会が,さる1999年5月12,13日の2日間,慶応義塾大学医学部精神神経科学教授浅井昌弘会長のお世話で,同大学の由緒ある北里講堂において開催された。発足して4年目で会員数は700名足らずの学会であるが,神経精神医学の基本的姿勢である精神と神経の関連を掘り下げていこうとする研究者の集会にふさわしく,シンポジウム,一般演題36題について活発な討論が行われ盛会であった。会長による「神経精神医学における精神症状論について」の講演は,精神症状の詳細な観察と正確な記述が精神医学の基本であることを,会員一同改めて認識させていただいた。精神症状を観るとき,その成因,病前傾向,発症誘因,発症速度,症状内容,経過期間,経過様式,転帰,治療,日常・社会生活機能(障害)などの組み合わせを検討しながら考察する診断学の基本を述べられた。脳器質性疾患の場合は,脳の局在部位との関係,疾患特有な精神症状の有無などを検討し,困難な作業とされる身体疾患と精神症状の特異的関係を見いだす努力が要求されるとも述べられた。精神病理学者としての心眼に接し,精神療法的対応やキメ細かいケアの実施には,精神症状に及ぼす生物—身体—心理—家族—社会—環境などの諸要因を総合的に評価した診療の重要性を強調され感銘を受けた。
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