動き
「第7回日本神経精神医学会」印象記
鉾石 和彦
1
1真光園
pp.1137
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902731
- 有料閲覧
- 文献概要
わが国で,アジアでは初めてとなるサッカーのワールドカップが開催され,日本チームが一次リーグをグループ首位で突破する快挙をなしたことは記憶に新しい。その開催期間中でもある,6月7日,8日の両日,第7回日本神経精神医学会が,遠藤俊吉会長(日本医科大学精神医学教室)のもと,東京のアルカディア市ケ谷で開催された。
会長講演は「セネストパチー:臨床と病態生理」で,本会の趣旨にふさわしく,遠藤教授の研究テーマの1つであるセネストパチーを取り上げられ,脳機能画像や電気生理学的検査,心理検査などから病態の本質にアプローチするのみならず,ミルナシプランの使用などの最新の治療にも言及された。シンポジウムは初日の「Vascular Depressionの病態と臨床」と2日目の「大脳変性疾患と精神症状」であったが,膨大な臨床データの蓄積から精神症状の脳基盤を明らかにし,治療に応用するという試みは,近年関連する学会でもホットトピックとなっており,今回の会長講演もシンポジウムも大変興味深い内容であった。以前「強迫」の概念のとらえ方が精神科と神経内科の立場では異なることから,この概念をめぐって論議があったが,今回は「うつ」症状のとらえ方が同様に異なるのではないかということが議論されたことが特に印象深く感じられた。感情や精神症状のとらえ方が立場によって異なることの困難さを感じるとともに,どのような症状を呈していたのかということの的確で詳細な記載の必要性を改めて痛感した。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.