Japanese
English
研究と報告
高脂血症の脳障害—第1報:前頭萎縮とコレステロール値
Hyperlipidemic Brain Damages (1): frontal atrophy and cholesterol level
苗村 育郎
1
,
菱川 泰夫
1
Ikuro NAMURA
1
,
Yasuo HISHIKAWA
1
1秋田大学医学部神経科精神科
1Department of Neuropsychiatry, Akita University School of Medicine
キーワード:
Hyperlipidemia
,
MRI
,
Frontal atrophy
,
Leukoaraiosis
,
Dementia
Keyword:
Hyperlipidemia
,
MRI
,
Frontal atrophy
,
Leukoaraiosis
,
Dementia
pp.1289-1295
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904667
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【抄録】主として精神科を受診した1,812名の脳のMRI画像を検討し,高脂血症(HL)の役割をロジスティック回帰分析により検討した。その結果,HL患者は,前頭部を中心とする脳萎縮を高頻度に生じることが明らかになった。HLの前頭萎縮は50歳代後半から頻度を増し,60歳代以上で高頻度となる。HLの前頭萎縮に対する相対危険度は,rr=2.3(p<0.00001)で,アルコール(AL)過飲との相乗効果は認められなかった。前頭萎縮の頻度は,女性では血清総コレステロールが180mg/dlを超えると急増し,240〜260mg/dlでピークを示した。男性では160mg/dlから増加し,200〜220mg/dlでピークとなった。
これらの結果は,HLが単独でも脳障害の危険因子となることを示すとともに,血清コレステロール値の健康域についての再考を迫るものである。
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