ステロイドの局所投与後に幻覚妄想状態を呈した角膜移植術後の1症例

A Case of Corneal Transplant with Hallucinatory-Paralloid State after Subconjuctival Injection of Steroids

■はじめに

　ステロイド投与による精神症状は，気分障害，幻覚妄想状態，せん妄，意識障害など多岐にわたる。その投与法としては経口投与，点滴静注によるものが多い。しかし局所投与に関しては，関節腔内投与により精神症状を来したという報告はあるものの^9），結膜下の投与により精神症状を認めたという報告はない。このため本症例は臨床上貴重なものと思われ，その精神症状の発現について若干の考察を加えたい。