動き
「第1回日本精神障害予防研究会」印象記
臺 弘
1
1坂本医院
pp.1012
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904407
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1997年3月12日,第1回の日本精神障害予防研究会が丸の内のJAビルで開かれた。この会は,前年の3月に沖縄で開催された第16回日本社会精神医学会のシンポジウム「社会精神医学の新しい戦略—精神分裂病の予防の可能性」を契機として,有志によって作られた日本精神障害予防研究会の初めての学術集会で,日本社会精神医学会の前夜に催された。30人ばかりのささやかな会であったが,同志的な集まりとして,爽やかで熱のある雰囲気がうれしかった。世話人代表の小椋力氏(琉球大)は,研究会の当面の目標を当事者と社会が予防を求めるような情勢の促進と関係者の基礎的,実践的な研究の開発に置きたいとし,慎重で楽観的な見通しの大切さを語った。
演題の第1は,逸見嘉之介(西海病院),早稲田隆,西園昌久(福岡大)の諸氏による「分裂病の再発における早期徴候—再発予防の指標として」で,寛解状態の分裂病者で過去2年間に再発のあった人の再発前駆症状の経験を,症状の種類,経過,再発の契機となった出来事,ストレスについて述べ,その結果をもとにして別の患者群に1年間の前向き症状観察を行った成績を報告した。治療方略は,早期症状と再発切迫症状に注目して治療介入を行うことと家族に前兆の認識を高めることにある。
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