動き
「第16回日本社会精神医学会」印象記
西園 昌久
1
1福岡大学医学部精神科
pp.676-677
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904125
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標記学会が琉球大学医学部小椋力教授会長のもとで1996年3月15,16日,沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターで開催された。上京していた筆者は羽田から沖縄に入ったのであるが羽田空港の掲示板には札幌2℃,東京10℃,那覇23℃と出ていた。同じ日本といってもずいぶん違うものだと思った。この気象の違いは生活やものの考え方にも影響を及ぼすであろう。これまで社会精神医学のとらえ方が人によってまちまちといううらみがないわけではなかったが,今回は違っていた。会長講演「沖縄における歴史・文化と精神医学,医療」,シンポジウム1「精神障害に対する態度,偏見と文化」,2「社会精神医学における戦略-精神分裂病の予防の可能性」,ミニシンポジウム「沖縄におけるシャーマニズムと精神医学」に小椋会長の意図と意気込みが明確に現れていた。社会精神医学の発展に求められる地域特殊性と地球的普遍性の両立を通じて本質に迫るというものである。社会精神医学を語るには沖縄という舞台もよかったし,会場の沖縄コンベンションセンターは琉球の花笠を形どったといわれる屋根の建物だったが,参加者の心を審美的にする働きをしていたように思う。
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