Japanese
English
研究と報告
動物に関連した病的体験を持つ症例の臨床的検討
A Clinical Study of the Cases with Animal-Related Psychopathological Experiences
佐々木 由佳
1
,
及川 暁
1
,
竹内 淳子
1
,
鈴木 廣子
1
,
酒井 明夫
1
,
三田 俊夫
1
Yuka SASAKI
1
,
Akira OIKAWA
1
,
Junko TAKEUCIII
1
,
Hiroko SUZUKI
1
,
Akio SAKAI
1
,
Toshio MITA
1
1岩手医科大学神経精神科
1Department of Neuropsychiatry, Iwate Medical University
キーワード:
Animal-related psychopathological experiences
,
Dolittle phenomenon
,
Auditory hallucination
Keyword:
Animal-related psychopathological experiences
,
Dolittle phenomenon
,
Auditory hallucination
pp.49-54
発行日 1996年1月15日
Published Date 1996/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904020
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【抄録】精神病理学的体験に動物が関与することの意義については,動物からの幻声体験としての「ドリトル現象」(Denning TR, West A, 1990)以外,まだ十分な検討が行われていない。今回我々は,ドリトル現象のほか動物関連の異常体験を呈した12例について症状論的検討を試みた。その結果,これら動物関連の異常体験には,①動物のしぐさや行為を起点とする異常な意味の顕現,②そうした異常な意味が動物から人間に言語的もしくは準言語的メッセージとして伝達される,という構造が共通に認められた。ドリトル現象の特徴とされている,①重症の精神病的状態の指標となる,②患者はしばしば危険な行動に出る,③患者は後にこの体験を話すことを嫌がる,などの事項は,ドリトル現象だけではなく,他の動物関連の体験にも出現する可能性が高く,このことは,「動物と人間の間の境界が曖昧になる」というこの体験の非日常性と関連していることが推定された。
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