Japanese
English
研究と報告
リチウムの抗攻撃性作用—気分障害を伴わない精神遅滞者を対象としたリチウム中断による検討
Antiaggressive Effect of Lithium:lithium withdrawal study of patients with mental retardation
寺尾 岳
1,2,3
,
大賀 哲夫
1
,
古川 正
1
,
野崎 伸次
1
,
太田 有光
1
,
大坪 由貴
1
,
座間味 宗和
1
,
岡田 正勝
1
Takeshi TERAO
1,2,3
,
Tetsuo OGA
1
,
Tadashi FURUKAWA
1
,
Shinji NOZAKI
1
,
Arimitsu OTA
1
,
Yuki OTSUBO
1
,
Munekazu ZAMAMI
1
,
Masakatsu OKADA
1
1日立梅ケ丘病院
2日立健康管理センタ
3産業医科大学精神医学
1Hitachi Umegaoka Mental Hospital
2Hitachi Health Care Center
3Department of Psychiatry, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
Mental retardation
,
Lithium
,
Antiaggressive effect
Keyword:
Mental retardation
,
Lithium
,
Antiaggressive effect
pp.1071-1076
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903748
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【抄録】 気分障害を伴わない8名の精神遅滞者および境界知能者を対象として,投与中のリチウムを中断することによりリチウムの抗攻撃性作用を検討した。リチウム中断直前1カ月間と直後1カ月間の行動を比較すると,自傷や他害が増加した者2名,落ち着きのなさや聞き分けのなさが増加した程度の者2名と,8名中4名にリチウムの効果が認められた。また,リチウム中断後に2名の下痢が軽快した。リチウム中断前後の血液検査においては,free T4あるいはT4が8名全体として有意に増加した。また脳波検査では,2名にα waveの増加を認めた。以上の結果から,気分障害を伴わない精神遅滞者の一部に,リチウムが重篤な副作用を伴わず抗攻撃性作用を発揮する可能性が示唆された。他方,リチウム継続投与により軽度ながら種々の副作用が生じたことから,漫然と投与することなく,適宜減量,中止による有用性の検討が必要と考えられた。
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