Japanese
English
研究と報告
精神疾患における不規則なβ波の出現と抗けいれん薬の効果
Irregular Beta Activities and Responses to Anticonvulsant in Psychiatric Patients
永久保 昇治
1
,
熊谷 直樹
2
,
亀山 知道
3
,
福田 正人
2
,
白山 幸彦
2
,
斎藤 治
4
,
安西 信雄
2
,
丹羽 真一
2
Shoji Nagakubo
1
,
Naoki Kumagai
2
,
Tomomichi Kameyama
3
,
Masato Fukuda
2
,
Yukihiko Shirayama
2
,
Osamu Saitoh
4
,
Nobuo Anzai
2
,
Shin-Ichi Niwa
2
1葛飾橋病院
2東京大学医学部精神医学教室
3東京逓信病院
4国立精神・神経センター武蔵病院
1Katsushikabashi Hospital
2Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
3Posts and Telecommunications Tokyo Hospital
4National Center Hospital of Mental, Nervous and Muscular Disorders, National Center of Neurology and Psychiatry
キーワード:
Irregular beta patterns
,
Dysphoria
,
Autonomic symptoms
,
Hypochondriacal symptoms
,
Antiepileptics
Keyword:
Irregular beta patterns
,
Dysphoria
,
Autonomic symptoms
,
Hypochondriacal symptoms
,
Antiepileptics
pp.609-619
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903063
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【抄録】 本研究は,“不規則β波パターン”を呈する患者の出現頻度,臨床特徴,その臨床症状に対する抗けいれん薬の有用性を検討したものである。“不規則β波パターン”を呈する脳波は稀なものではないが,従来注目されることの少なかったものであり,基礎波形に高振幅で不規則なβ波が目立ち,時にtransientな波形が混入するものを指す。1986年に東大病院精神神経科を受診した全新来患者のうち脳波検査を施行した症例の脳波を全例視察的に検討し,分裂病圏,感情病圏,神経症圏に該当するものをその対象とした。脳波検査を施行した症例のうち不規則β波パターンを呈する症例の比率は約10%であり,不規則β波パターンを呈する症例は不機嫌,心気症,自律神経症状が高い頻度で認められ,逆にこれらの症状の認められる患者ではそうでない患者に比べて不規則β波パターンが有意に多く認められた。抗けいれん薬の併用により半数以上の症例が臨床症状の改善を示し,特に不機嫌,心気症,自律神経症状の改善が目立った。以上より,不規則β波パターンに注目することの重要性,脳波検査の重要性,抗けいれん薬の有用性が示唆された。
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