Japanese
English
短報
Clonazepamが奏効したけいれん性発声障害の1症例
Successful Treatment with Clonazepam in a Patient with Spasmodic Dysphonia
宮岡 剛
1
,
笠原 恭輔
1
,
三浦 星治
1
,
大城 隆太郎
1
,
岡崎 四方
1
,
山崎 繁
1
,
三原 卓巳
1
,
清水 予旨子
1
,
安川 玲
1
,
坪内 健
1
,
水野 創一
1
,
前田 孝弘
1
,
上垣 淳
1
,
助川 鶴平
1,2
,
稲垣 卓司
1
,
堀口 淳
1
Tsuyoshi MIYAOKA
1
,
Kyosuke KASAHARA
1
,
Seiji MIURA
1
,
Ryutaro OHSHIRO
1
,
Siho OKAZAKI
1
,
Shigeru YAMAZAKI
1
,
Takumi MIHARA
1
,
Yoshiko SHIMIZU
1
,
Rei YASUKAWA
1
,
Ken TSUBOUCHI
1
,
Soichi MIZUNO
1
,
Takahiro MAEDA
1
,
Jun UEGAKI
1
,
Tsuruhei SUKEGAWA
1,2
,
Takuji INAGAKI
1
,
Jun HORIGUCHI
1
1島根医科大学医学部精神医学講座
2国立療養所鳥取病院精神科
1Department of Psychiatry, Shimane Medical University
2National Tottori Hospital
キーワード:
Spasmodic dysphonia
,
Clonazepam
Keyword:
Spasmodic dysphonia
,
Clonazepam
pp.543-545
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902645
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はじめに
けいれん性発声障害(spasmodic dysphonia,以下SDと略す)は稀な疾患である7)。発声時に声帯の過緊張と声門の過剰閉鎖を起こし,声は圧迫性,努力性となり,不随意に渋滞してとぎれとぎれの声になる。一般に知的レベルの高いものに多く,過緊張やストレスのある時のほうが声が不良である。SDの病因は不明であり,心因から神経生理学的な障害までさまざまな仮説が立てられているが,治療は困難である。主に近年では耳鼻科領域で扱われている疾患であるが,欧米ではSDの治療には精神科的関与が必要であると考えられている9)。しかし,我々の知るかぎりにおいて,本邦の精神科領域における報告は皆無である。clonazepamはbenzodiazepine系の抗てんかん薬であるが,強迫性障害,気分障害,恐慌性障害などの精神障害の治療にも使用されている。しかし,これまでにSDの治療にclonazepamが使用され有効であったという報告はみられない。
今回,SDの1症例にclonazepamによる治療を試みたところ,著明に症状の改善がみられたのでこの症例について報告し,若干の考察を加える。
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