動き
「第14回総合病院精神医学会」印象記
佐々木 高伸
1
1広島市民病院精神科
pp.466-467
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902635
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第14回総合病院精神医学会は,2001年11月30,31日の両日,新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)にて新潟大学大学院医歯学総合研究科染矢俊幸教授を会長として開催された。会長の予言通り,雨が降ったりやんだり,時折雪がちらつくというこの時期の信越特有の不安定な天候だったが,参加者約500名という本学会史上最高の盛況で大いに盛り上がりを見せた。これは,会長以下新潟大学関係者の方々の多大なご努力によるものであると同時に,学会認定医制度やリエゾン心理士の会が発足して,この1年間に会員が約15%増加しているという学会全体の上昇気流も後押ししているものと思われた。
会長講演は「精神医療の展望一精神科在院患者数の将来予測をもとに」と題して黒澤尚理事長の司会で行われた。臨床精神薬理の権威である染矢会長があえて薬理を離れ,今,精神科臨床医が最も知りたいことをテーマとして選ばれたことに敬意を表するとともに意外に感じたのも事実である。しかしその内容を聞いてさらに驚いた。新潟県にしか存在しないという各年代別の精神科在院患者数調査(1974年〜2000年)をもとに時系列分析を行った結果,精神分裂病在院患者数はこの先30年で約1/3となり,痴呆患者などの増加を見込んでも25〜30%の精神病床が不必要になるという衝撃的な予測を発表された。会長も強調されたように,今後こうした変化に対応するために,精神医療の進歩に沿った社会復帰促進型医療への意識・構造改革が不可避であり,その中で総合病院精神科の果たす役割は大きいと思われる。
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