Japanese
English
短報
Fluvoxamineが奏効した家庭内暴力の1例
A Case of Family Violence Successfully Treated with Fluvoxamine
伊藤 陽
1
,
吉田 浩樹
1
,
小林 勇
1
Noboru ITOH
1
,
Hiroki YOSHIDA
1
,
Isamu KOBAYASHI
1
1新津信愛病院
1Niitu-Shinai Hospital
キーワード:
Fluvoxamine
,
Family violence
,
Avoidant personality disorder
,
Dysthymic disorder
,
Serotonin spectrum disorder
Keyword:
Fluvoxamine
,
Family violence
,
Avoidant personality disorder
,
Dysthymic disorder
,
Serotonin spectrum disorder
pp.1353-1356
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902549
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
子供が親に対して暴力を振るう形の家庭内暴力はわが国特有の現象であるとされている5)。この病態は不登校やひきこもりと密接に関連し,その原因が主として家族病理に由来すると考えられているために,治療としては家族療法も含めた心理的アプローチが行われることが多い3,4)。また家庭内暴力における衝動性の制御不全や,随伴してみられる抑うつ,対人緊張,社会恐怖,強迫症状などを標的に薬物治療も行われる。稲村6)は抗精神病薬の有効性を高く評価し,野田ら9)は抗てんかん薬のcarbamazepineと抗精神病薬とりわけhaloperidolの有効性を指摘している。川谷7)はこの病態の家系内に感情病が多いことから,抗うつ薬,carbamazepine,lithium carbonateが有効であるとしている。最近,わが国においても臨床応用されるようになったselective serotonin reuptake inhibitor(以下SSRI)8)も家庭内暴力に対して奏効するかどうかは興味の持たれるところであるが報告例はまだ見当たらない。今回,筆者は不登校,ひきこもりに続いて,家庭内暴力を振るうようになった1例にfluvoxamilleを投与して良好な結果を得たので,若干の考察を加えて報告する。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.