増大号特集 精神科診療における臨床評価尺度・検査を極める—エキスパートによる実践的活用法
Ⅲ章 臨床場面別の活用法
特発性正常圧水頭症に対するCSFタップテスト
鐘本 英輝
1
1大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
キーワード:
特発性正常圧水頭症
,
idiopathic normal pressure hydrocephalus
,
iNPH
,
脳脊髄液排除試験
,
CSFタップテスト
,
CSF tap test
,
Disproportionately enlarged subarachnoid space hydrocephalus
,
DESH
,
iNPH Grading Scale
,
iNPHGS
,
Queckenstadt試験
,
Queckenstedt test
Keyword:
特発性正常圧水頭症
,
idiopathic normal pressure hydrocephalus
,
iNPH
,
脳脊髄液排除試験
,
CSFタップテスト
,
CSF tap test
,
Disproportionately enlarged subarachnoid space hydrocephalus
,
DESH
,
iNPH Grading Scale
,
iNPHGS
,
Queckenstadt試験
,
Queckenstedt test
pp.703-708
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207292
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特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus:iNPH)は,くも膜下出血や髄膜炎などの原因となる先行疾患がないにもかかわらず,脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)が頭蓋内に過剰貯留することで生じる病態である。過剰に貯留したCSFによる脳の圧迫のため,典型的には歩行障害・認知障害・排尿障害を呈し,適切に診断しCSFを頭蓋内から排出するシャント術を行うことで症状の改善が期待できる。
iNPHは主に脳神経外科領域の疾患と考えられているが,治療可能な認知症の原因疾患の1つであるため,精神科を含む認知症診療の現場では鑑別すべき重要な疾患として知られるようになってきた。特に,iNPHにおけるCSF過剰貯留によって生じた脳形態の変化を反映したdisproportionately enlarged subarachnoid space hydrocephalus(DESH)の認知度は,精神科領域でも高まっている(図1)。
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