特集 多様なアディクションとその対応
特集にあたって
樋口 進
1
1独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
pp.111
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205532
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昨今,行政面でアディクションが大きな問題になっている。2014年に施行された「アルコール健康障害対策基本法」の国の基本計画は2017年5月の閣議決定を経て,現在,各都道府県の推進計画が策定されつつある。薬物依存関連では,刑の一部執行猶予制度が始まり,その運用に関してこれから正念場を迎える。また,2016年にいわゆるIR推進法が制定され,今後カジノが解禁されることになる。しかし,すでに世界で有数の有病率の高さを誇っているギャンブル依存のさらなる増加が懸念され,その対策の充実がなければ,IRが前に進まない状況にある。2018年1月から始まっている通常国会で,ギャンブル等依存症対策基本法が,IR実施法とともに制定されるとも聞いている。さらに,最近,ICD-11にゲーム障害が収載されることがメディアで大きく取り上げられるなど,ゲームを始めとするさまざまなインターネットサービスへの依存問題は大きな関心事となっている。
このような政府の動きと国民の高い関心の背景には,アディクション問題の大きさと多様性が関係している。医学界でも,つい最近までアディクションは物質依存に限られていた。しかし,ギャンブル,ゲームが行動嗜癖として認められつつあり,その対象範囲が大幅に拡大された。一方で,買い物依存,食べ物依存,セックス依存,仕事依存など,その他の行動嗜癖の候補は,エビデンスのレベルが十分でないため,正式に行動嗜癖に組み入れられない状況にある。
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