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今回,9月17,18日の2日間にわたり,熊本市のくまもと県民交流館パレアにおいて池田学会長(大阪大学精神科教授,熊本大学客員教授)のもと,第21回日本神経精神医学会が開催された。半年前の熊本県を中心とする大震災からの復興途上の中での開催であった。本学会は神経と精神の境界領域を学際的に,さまざまな立場から探究する場であり,参加者も多彩であることが特徴である。
演題は一般口演が両日とも中心であるが,主な講演やシンポジウムをみると,大会初日の特別講演ではシドニー大学(豪)の行動神経学のJohn R Hodges教授が「The Frontotemporal Dementia:Towards more accurate and early diagnosis」と題して最近のFTD研究の知見とFTDの初期症状もしくは前駆状態に関して講演された。シンポジウムでは,「Prodromal dementia精神科と神経内科の立場から」と題して岩田淳先生(東京大)がアルツハイマー型認知症の前駆期,前臨床期への治療介入について,水上勝義先生(筑波大)がDLBの前駆状態について,福原竜治先生(熊本大)がFTD,數井裕光先生(大阪大)がiNPHについてそれぞれProdromalという視点から述べられていた。大会2日目は症例検討3演題が下村辰雄先生(秋田県立リハビリテーション・精神医療センター)の座長のもと発表された。またイブニングセミナーは小田原俊成先生(横浜市立大)による「レビー小体型認知症の診断・治療における臨床的課題」,モーニングセミナーは數井裕光先生による「認知症症専門医によるiNPH診療の実際」と実践的な内容であった。
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