書評
—宮岡 等 著—こころを診る技術—精神科面接と初診時対応の基本
伊藤 絵美
1
1洗足ストレスコーピング・サポートオフィス
pp.131
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204854
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宮岡等先生著『こころを診る技術』の書評を依頼され,ちょうど本書を読みたいと考えていたところなので軽い気持ちで引き受けたが,コンパクトながら多面的な内容が凝縮された本書を一気に読了したところ,若干の戸惑いを覚えた。「なぜ私が依頼されたのか?」「どの立場の人間として,私はこの書評を書けばいいのか」。というのも,本書は副題が「精神科面接と初診時対応の基本」とあるように,明らかに精神科の臨床医に向けて書かれたものであるからである。評者は精神科医ではない。認知行動療法を専門とする民間カウンセリング機関を開業する臨床心理士である。本書には,昨今の「認知行動療法ブーム」に対する批判も複数書かれていた。
ところが戸惑いながらあとがきを読んだところ,本書で最も感銘を受けることになる以下の文章に出会った。「最初は『どのようにすれば面接をうまく進めることができるか』についての工夫を中心に,本書を書こうと思っていた。しかし,書いているうちに,『どのような患者観をもっているか』,『どのような患者-医者関係がよいと考えているのか』に関するきちんとした考えのないところに面接法は生まれないという,ごく当たり前のことを強く感じるようになった」(p 206)。
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