Japanese
English
紹介
西太平洋地域におけるWHO精神衛生プログラム
Mental Health Programme of the WORLD HEALTH ORGANIZATION for the Western Pacific Region
新福 尚隆
1
Naotaka Shinfuku
1
1世界保健機関四太平洋地域精神衛生部
1Regional Adviser in mental health and drug dependence, Office for the Western Pacific Region, WHO
pp.1361-1370
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204632
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I.はじめに
1946年に採択されたWHO憲章で「健康とは,身体,精神,社会状態ともに健全なことをいい,単に障害や疾病がないということを意味するものではない。」と定義されている10)。この健康の定義により,WHOの精神衛生プログラムは,存在の基盤を与えられ,その範囲も,精神疾患,神経疾患の予防,治療のみでなく,心の健康の増進を含めた幅広いものとなっている。
WHOのプログラムは,天然痘の撲滅に象徴されるように,感染症の予防対策,発展途上国での一般衛生状態の改善といった活動が主流を占めている。しかしながら,近年,急速な経済社会状態の変動,疾病構造の変化の結果,アルコールや薬物依存,精神疾患を含めた,ライフスタイルに関連した健康問題が,国際公衆保健の観点からも重要なものになってきた。このため,WHOの活動の主な舞台である発展途上国においても,精神衛生,アルコールや麻薬問題の対策等のプログラムが徐々に増加してきた。
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