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Seishin Igaku Volume 30, Issue 8 （August 1988）

精神医学 30巻8号（1988年8月発行）

Japanese English

研究と報告

児童・思春期（18歳以下）発症の精神分裂病の状態像—昭和38〜42年と昭和56〜60年入院例の比較 Clinical Features of Schizophrenia under 18 Years: About 20 years ago and today 弟子丸元紀 ¹ , 金山寿一 ² , 渡辺健次郎 ¹ , 山本和儀 ¹ , 山下建昭 ¹ , 上妻明彦 ¹ , 荒木邦生 ¹ , 赤城藤孝 ¹ , 松永哲夫 ¹ , 首藤謙二 ³ , 倉元涼子 ¹ , 宮川太平 ¹ Motonori Deshimaru ¹ , Toshikazu Kanayama ² , Kenjiro Watanabe ¹ , Kazuyoshi Yamamoto ¹ , Kensho Yamashita ¹ , Akihiko Kozuma ¹ , Kunio Araki ¹ , Fujitaka Akagi ¹ , Testuo Matsunaga ¹ , Kenji Shuto ³ , Ryoko Kuramoto ¹ , Taihei Miyakawa ¹ ¹熊本大学医学部神経精神医学教室 ²宮崎県立富養園 ³国立療養所菊地病院 ¹Department of Neuropsychiatry, Kumamoto University Medical School ²Miyazaki Fuyo Hospital ³National Sanatorium Kikuchi Hospital キーワード： Schizophrenia under 18 years , Clinical features , Chronological alternation Keyword: Schizophrenia under 18 years , Clinical features , Chronological alternation pp.865-875

発行日 1988年8月15日 Published Date 1988/8/15

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204565

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　抄録　昭和38〜42年と昭和56〜60年の各5年間に当科に入院した，児童・思春期（18歳以下）発症の精神分裂病者（各30例）の状態像を比較検討した。変化のないのは発病年齢，遺伝負因および発病契機であった。変化が認められるのは発病状況で，急性例の減少，潜行性例の増加であった。また，症状では緊張病症状群の減少。異常体験では空想的幻覚・妄想，幻視の増加，および異常体験の活発な言語化が認められた。日常生活行動では，家庭内での親への反抗・暴力，自殺企図・wrist cutなどの行動化が増加していた。以上，緊張病症状群などの行動面の表出症状の減少からは，「寡症状化」ともいえるが，活発な異常体験の言語化，状況反応的に症状の増悪，行動化などからは，必ずしも「軽症化」とは言えず，むしろ，「神経症化」の傾向を示す例が増加していると考えられる。