Japanese
English
研究と報告
ブロン依存症の離脱後に意識障害を呈した1症例
A Case with Disturbed Consciousness after an Withdrawal of BRON Solution Dependence
吉川 領一
1
,
小片 寛
1
,
融 道男
1
Ryoichi Yoshikawa
1
,
Hiroshi Ogata
1
,
Michio Toru
1
1信州大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Shinshu University School of Medicine
キーワード:
Dependence on BRON solution
,
Withdrawal symptom
,
Disturbance of consciousness
,
Hallucination
Keyword:
Dependence on BRON solution
,
Withdrawal symptom
,
Disturbance of consciousness
,
Hallucination
pp.183-189
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204471
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抄録 市販の鎮咳去痰剤「小児用エスエスブロン液」の依存症により幻覚を含む精神症状が出現したが,離脱後に意識障害を起こし,脳波上にも持続性広汎性の徐波を呈した1症例を報告した。患者は29歳の男性で,ブロン液は約6年間乱用した。意識障害は離脱2日後に始まり,12日間にわたり軽度から中等度の意識混濁が続いたが,離脱4日後には意識消失発作を起こした。意識混濁の前半6日間は軽いせん妄の,後半6日間はアメンチアの色彩を呈した。本例の精神症状の発現にブロン液の成分中のmethylephedrineやdihydrocodeine phosphateが関与していることは間違いないが,これら単独では説明できない面があり,ブロン液の各成分の複雑な相互作用によって引き起こされたものと考えられた。また,意識障害もdihydrocodeine phosphateの離脱症状だけによるとは考えにくく,ブロン液の他の成分との相互作用の関与が推察された。
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