Japanese
English
短報
幻嗅を呈したパーキンソン病症例
Olfactory Hallucination observed in a Patient with Parkinson's Disease
堀口 淳
1
,
稲見 康司
2
,
西松 央一
1
,
柿本 泰男
1
Jun Horiguchi
1
,
Yasushi Inami
2
,
Oichi Nishimatsu
1
,
Yasuo Kakimoto
1
1愛媛大学医学部神経精神医学教室
2秋田大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Ehime University School of Medicine
2Department of Neuropsychiatry, Akita University School of Medicine
pp.1233-1235
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204423
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Ⅰ.緒言
抗パーキンソン病薬で治療中のパーキンソン病患者に,幻視を中心とする幻覚体験が高頻度に出現することはよく知られた事実である。著者らはこれまでに多数例のパーキンソン病患者におけるこれらの幻覚体験の有無や内容を詳細に検討し,その特徴や痴呆との関連あるいは治療法などについて一連の研究報告2〜9,16,17)を行ってきた。出現する幻覚の中ではヒトや小動物などの幻視を呈するものが多く,時に幻聴を呈する患者もあり,さらに特異なものとして,症状論上幻覚と妄想との間に位置付けられ得る実体的意識性(Jaspers, K.)などがしばしば観察される。
今回著者らは抗パーキンソン病薬で治療中に幻嗅を呈した特発性パーキンソン病患者を経験した。著者らがこれまでに治療した155例のうち幻嗅を呈した患者は本症例が始めてであり,さらに著者らの調べ得た限りでの報告例は4例11〜13,15)のみであり,貴重な症例と考えられるので報告する。
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