Japanese
English
研究と報告
幼児自閉症における“折れ線現象”の特異性—I.現象の記述と先行因子および早期発達について
Specificity of "Disintegrative Phenomenon" in Infantile Autism. I. Description of the phenomenon, antecedent factors and early development
栗田 広
1
Hiroshi Kurita
1
1国立武蔵療養所神経センター診断研究部
1Division of Early Detection of the Handicappcd, National Center for Nervous, Mental and Muscular Disorders
キーワード:
Disintegrative psychosis
,
DSM-III
,
Heller's disease
,
Infantile autism
,
Pervasive developmental disorder
Keyword:
Disintegrative psychosis
,
DSM-III
,
Heller's disease
,
Infantile autism
,
Pervasive developmental disorder
pp.953-961
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203642
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 幼児自閉症261例,精神遅滞195例において有意味語の消失などの“折れ線現象”を検討した。折れ線現象は,幼児自閉症で精神遅滞より有意に出現率が高く,幼児自閉症およびその近縁の発達障害に,かなり特異的な現象と思われる。折れ線現象は幼児自閉症では37.2%に出現し,男子では34.7%,女子では51.3%であり,有意に女子での出現率が高い。折れ線現象の大部分は一度出現した有意味語の消失であり,発症月齢は10ヵ月より30ヵ月にわたり,中央値は18ヵ月である。始語月齢より折れ線現象発症までの期間は最長22ヵ月で,73.1%は6ヵ月以内である。始語月齢は,折れ線現象を有する幼児自閉症(折れ線型自閉症)では,有意にそれのない幼児自閉症より早い。折れ線型自閉症の早期の運動発達は,正常児に比して差がない。折れ線現象の出現,その後の発達水準の低下と出現する行動的症候の類似性は,折れ線型自閉症と崩壊精神病が同一疾患である可能性を示唆する。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.