Japanese
English
研究と報告
抗精神病薬による精神分裂病治療の臨床脳波学的研究—特に脳波変化と病像経過との縦断面的検討
Clinical Electroencephalographic Study on Schizophrenics Treated with Antipsychotic Drugs: Longitudinal correlation between EEG changes and clinical course
富田 邦義
1
Kuniyoshi Tomita
1
1順天堂大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Juntendo Univ. School of Medicine
キーワード:
Schizophrenia
,
Anti-psychotic drugs
,
EEG
,
Basic pattern
,
Photic driving response
Keyword:
Schizophrenia
,
Anti-psychotic drugs
,
EEG
,
Basic pattern
,
Photic driving response
pp.245-258
発行日 1981年3月15日
Published Date 1981/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203231
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 発病後未治療,再発後未治療の精神分裂病25例について入院服薬開始前より退院後3年以上にわたって脳波検査をくり返し行い,基礎波と光刺激反応の変化を臨床症状との関連において検討した。①服薬開始前記録では境界14例,軽度異常2例計16例(64.0%)で基礎律動異常が認められた。光刺激では3〜30f/s帯域で不定の駆動反応を示した。②服薬開始後は基礎波に変化の乏しいA群と明らかに変化を示すB群に分かれた。光刺激反応は反応帯域により3〜30f/s帯域で幅広い不定の反応を示すⅠ型,10〜18f/s帯域で反応のピークを示すⅡ型,3〜7f/s帯域で反応のピークを示すⅢ型の3つのタイプに分かれた。臨床経過との相関性を見るとA群,B群ともⅠ型は不変例,Ⅱ型,Ⅲ型は改善例であった。③退院後の予後との関連では,A群Ⅰ型は再発しやすく,B群Ⅱ,Ⅲ型は予後良好なものが多かった。また予後良好なものの退院後脳波所見は健常対照群に近い正常所見を示し,光刺激反応はⅡ型を示した。予後不良なものは正常所見を示すものはなく,光刺激反応はⅠ型を示した。以上の知見は分裂病者に対する薬物療法下の経過予測について,脳波検査特に光刺激反応の検討が重要な示唆を与えることを示している。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.