Japanese
English
研究と報告
左頭頂葉角回部損傷による構成失書の1例
A Case of Constructive Agraphia due to Lesion of the Angular Area in the Left Parietal Lobe
高坂 要一郎
1
,
山内 俊雄
1
,
川村 幸次郎
2
,
佐藤 晋
2
Yoh-ichiro Takasaka
1
,
Toshio Yamauchi
1
,
Kojiro Kawamura
2
,
Susumu Sato
2
1北海道大学医学部精神医学教室
2市立釧路総合病院精神神経科
1Dept. of Psychiatry & Neurology, Hokkaido University School of Medicine
2Dept. of Psychiatry, Kushiro Municipal Hospital
キーワード:
Left angular area lesion
,
Constructive agraphy
,
Logography
,
Phonography
,
Acalculia
Keyword:
Left angular area lesion
,
Constructive agraphy
,
Logography
,
Phonography
,
Acalculia
pp.169-176
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203220
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抄録 左頭頂葉角回部の血管性損傷によって暗算の障害および軽度の構成失行をきたした患者について,失書症状の性質を検討した。書字のうち,書き取り,自発書字に際して著明な発動性の低下,字性健忘,錯書が認められ,描画に長時間を要した。障害の性状は字性失書であり,漢字,平仮名,アルファベット,数字がほぼ同程度に障害されていた。この所見は,構成失書における日本語の特性として仮名と比べて漢字がより強く障害されるとする従来の説と異なる。この点についてlogography,phonographyという観点からlogo-,phono-,の部分は構成失書と本質的な関係を有しないこと,即ち構成失書においては表音,表意文字間に本質的な差はなく,障害はむしろgraphyの部分にあることを述べ,Zuttの「自動性」,Straussの「運動覚」が書字行為に与える影響について考察した。また三次元の描画の障害と暗算の障害も構成失書と同一の病変に基づくものであると考えた。
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