巻頭言
精神病院改革について
岡田 敬蔵
1
1都立松沢病院
pp.840-841
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202224
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これまでは,精神病院は一般の人にとっては,危険な治らない病者を収容するところ,したがって自分たちには縁のないところと考えられ,精神病院は一般社会からはかけはなれた,閉鎖した別の社会をつくりあげ,他方病院内部でも,精神病院というところはこういうところなのだという,そのなかだけに通用する観念が定着していた。そのために,そのかぎりでは,精神病院をめぐって波風の立つことは少なかったといえよう。
最近,精神病院のことが新聞記事として大きく取り上げられることが多くなった。このような現象を生み出している社会的要因としては,社会一般にはなお依然として,精神病院は危険な恐ろしい病者を隔離しておく特別なところだという考えが強く支配しているとはいえ,とくに人格を尊重し,束縛抑圧からの人間解放を強く希求する時代思潮の流れが,これまでの精神病院のあり方に対して強い批判の目を向けてきた,また,世人もそれに共鳴するようになったといえよう。
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