誌上シンポジウム 日本の精神医療についての4つの意見
日本の精神医療—一つの比較文化的考察
Joe Yamamoto
1
1南カリフォルニア大学精神科
pp.588-590
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202188
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日系米人の精神医として著者は日本の精神医療に関して重大な関心を持っている。日本における精神病床と入院患者の増加は著しいものがある。疑いもなくそれは日本の高度経済成長と平行関係にあるものと思われるが,この病床ならびに入院患者の増加が著者の関心事である。
稲永は1957年から1965年にかけて,精神障害者に対する病床が年々増加していることを指摘している1)。表1は1970年に至る彼の統計から引用したものである。事実は毎年10,000床またはそれ以上の病床が増えていることを示しており,1957年の60,382床は1970年には242,014床に増加している。これは実に4倍の増加である。いずれの高度技術成長社会とも同様に,日本には患者,または患者とはいわれていないが精神障害を持つ個人が数多くいる2)。こうした人々に対して健康を保持するサービスが必要であることは論を俟たない。
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