Japanese
English
研究と報告
向精神薬療法中の脳波変化とその継時的観察
Serial EEG Recordings in Psychotropic Drug Treatment
越野 好文
1
,
榎戸 秀昭
1
,
松本 完治
1
,
松岡 宗里
1
,
中川 芙佐子
1
,
大塚 良作
1
Yoshifumi Koshino
1
,
Hideaki Enokido
1
,
Kanji Matsumoto
1
,
Tokisato Matsuoka
1
,
Fusako Nakagawa
1
,
Ryosaku Otsuka
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Kanazawa Univ. School of Med.
pp.387-396
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202167
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症状が重篤なため通常の臨床使用量の範囲内で中等量ないし多量の向精神薬が使用された,16歳から23歳(平均19歳)の精神分裂病患者5例(男1人,女4人)の継時的脳波変化と臨床経過,服薬について報告した。
これらの症例にてんかん性素因はなく,服薬前脳波に粗大な異常所見は認められなかった。向精神薬服用後律動的なθバースト,不規則なδバースト,陽性棘波および小さい棘波を持つ5〜6c/secの速い周波数の棘徐波結合が出現した。継時的観察の結果,これらの脳波変化は臨床経過よりも向精神薬服用との関連性が密接であった。
服薬中断を行った3例中2例では2〜3週間で正常脳波に戻ったが,他の1例は服薬中断後4〜10日にかけて脳波変化は一時中断直後よりむしろ高度となった。この症例の脳波異常の程度はその後軽快したが,16日間の観察期間中に完全には正常化しなかった。
精神分裂病患者において向精神薬により脳波変化を生じることは決して稀な例外的なことではない。向精神薬服用中あるいは服用の経験のある人の脳波に棘波成分や徐波成分を見た時は,その意味づけに十分な注意が必要であり,継時的観察を行うべきであると強調した。
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