Japanese
English
研究と報告
盤珪禅と森田療法の精神指導の態度についての考察
On the Ways of the Mental Direction of "Bankei" Zen-Buddhism and of Moritatherapy
鈴木 知準
1
Tomonori Suzuki
1
1鈴木診療所
1Suzuki Mental Clinic
pp.737-745
発行日 1972年8月15日
Published Date 1972/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201923
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I.はじめに
盤珪(ばんけい)の不生禅(ふしようぜん)は坐禅という行(ぎよう)を行なわないで,盤珪の説法を聞きにくる聴衆に法話を聞かせ,また疑問を持つ僧との間の問答の形式をとって現在の心的態度の批判を行ない,彼等を開眼させ,現在の中に彼等を安定せしめようとしている。これが盤珪禅の眼目とするところであった。
しかして,その盤珪の法話,または僧や聴衆との間の問答質疑は,森田の神経質人を指示する方向と極めて近いのは,誠に興味深い。しかし前述のように盤珪は坐禅などの行をおこなわなかった。森田療法といわれる森田の特殊療法においては,臥褥や作業へ没入する行動すなわち行が必要とされている。この点大きく異なってはいるが,森田のその行動を通して達せしめようとする心的態度を,盤珪は日常の問答の中に極めてやさしい言葉で表現しているのは,一つの驚きをわれわれにあたえる。
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