Japanese
English
研究と報告
精神分裂病患者におけるPersécuté persécuteurについて
Persecuted Persecutor in Schizophrenia
宇野 隆盛
1
,
鈴木 鉦一郎
1
,
宮川 健児
1
T. Uno
1
,
S. Suzuki
1
,
K. Miyagawa
1
1県立岐阜医科大学精神神経科
1Dept. of Neuro-psychiat., Gifu Prefectural Medical College
pp.369-374
発行日 1963年5月15日
Published Date 1963/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200560
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I.はじめに
われわれは分裂病患者のpersécuté persécuteur(加害的被害者)に関してその構造と経過とをのべる。この問題にはいる前に妄想患者における妄想の種類にふれる必要がある。
周知のごとくJaspers, K. 1)は妄想の定義を明確にし,真性妄想と妄想様観念の区別を明らかにし,また妄想の種類にも言及した。真性妄想は病的過程にもとづいているとされ,妄想内容に関しては人間一般の欲求,願望,希望,危惧により患者の禍福と密接に関係しているという。患者はほとんどつねに妄想の中心にあるものであり,かかる個人的な中心をもつた妄想がほとんどであり,比較的まれには世界関係や哲学的問題や歴史的事件など患者個人とは無関係な妄想がある。また誇大妄想と被害妄想,誇大妄想と追跡妄想のように内容的に相反するものが結合している場合があるという。
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