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資料
大阪市立弘済院緊急救護所3ヵ年の歩み
Experiences of Rehabilitation of the Discharged Psychiatric Patients with no Relatives
金子 仁郎
1
,
谷向 弘
1
Ziro Kaneko
1
,
Hiroshi Tanimukai
1
1大阪大学精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Osaka University Medical School
pp.585-592
発行日 1962年8月15日
Published Date 1962/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200471
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大阪市立弘済院緊急救護所では生活保護を受けている身寄りのない精神障害者に積極的に生活指導を行なつた結果,設立以来3年6ヵ月間に104名の退所者を出したが,その内訳は,就職33名(31.6%),希望退所および施設変更20名(19.4%),再発による再入院27名(26%),無断退所24名(23%)である。その昭和37年1月15日現在での遠隔成績をみると就職退所者のうち10名(30.3%)が再発ないし行方不明となつているが無断ないし希望退所した者で現在独力で就職し安定した生活をおくつている者が17名(38.6%)あり結局就職による総社会復帰率は38.5%であつた。就職者は一般に比較的若年者で,精神病院入院期間の短い者のほうに高率であり,長期の入院が慢性化ないし施設化を助長して,生活意欲を失わせる傾向がうかがわれた。しかしかなり長期にわたつて精神病院入院生活をおくつてきた精神障害者で身寄りのない者でも適当に生活指導をし,就職斡旋をしてやることによつてかなりの社会復帰者を出すことができるとの印象をうけた。なお当救護所における生活指導の経験から,後療法に関する2,3の問題点を指摘した。
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