Japanese
English
研究と報告
治療社会における人間関係の研究—精神科職員の意見調査のこころみ
Study on the Human Relations in "Therapeutic Community": Opinion-and Attitudes Survey of Pychiatric Staffs
加藤 正明
1
,
中川 四郎
1
,
岡田 敬蔵
1
,
小坂 英世
1
,
竹村 和子
1
,
徳江 富士弥
2
Masaaki Kato
1
,
Shiro Nakagawa
1
,
Keizo Okada
1
,
Hideyo Kosaka
1
,
Kazuko Takemura
1
,
Fujiya Tokue
2
1国立精神衛生研究所
2東京医大神経科
1Institute of Mental Health
2Neuropsychiatric Department, Tokyo Medical University
pp.595-602
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200254
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1
産業における人間関係理論が1931年E. Mayoのホーソン実験以来,RoethlisburgerやLingらによつて発展させられてきたことは周知のとおりである。精神医学の領域では,V. Andersonが1922年に「産業における精神医学」をあらわし,さらに1936年にはW. Bryanが「精神病院における人間関係」をあらわした。この2著作は人間関係理論と「精神病院医学」とをつなぐさいの2つの側面を示している。すなわち治療社会としての精神病院における人間関係の問題の1つは,病院管理の理論および技術としてのそれであり,この点では病院は多様な職種を有する特殊な企業ではあるが,一般産業における人事管理と共通する側面をもつている。それはいわゆる管理精神医学administrative psychiatryの問題である。
ほかの側面は前述のBryanを初め,最近ではA. Stanton,M. Schwarz,W. Caudill,M. Greenblatt,G. M, Carstairs,D. Levinson,M. Jonesなどの多くの論者が,いわゆる社会精神医学の立場から,治療技術としての人間関係理論の問題をとりあげていることである。わが国でも近ごろ開放病院方式や社会治療などという言葉がさかんに用いられるようになり,この方面への関心もたかまつているが,これらの問題の根底には,病院内の職員間,職員対患者間および患者相互間の3種の人間関係に関する理論と技術があり,それがもつとも重要な治療的意義を有することはいうまでもない。
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