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資料
精神保健福祉センターを受診した「ひきこもり」の実態調査
A Survey of Withdrawal Syndrome Visiting a Mental-health and Welfare Center
土岐 茂
1
,
谷山 純子
2
,
衣笠 隆幸
2
Shigeru TOKI
1
,
Junko TANIYAMA
2
,
Takayuki KINUGASA
2
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経医科学
2広島市精神保健福祉センター
1Department of Psychiatry and Neurosciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan
2Hiroshima City Mental-health and Welfare Center
キーワード:
Withdrawal syndrome
,
Course
,
Family
,
Pervasive developmental disorder
,
Social phobia
Keyword:
Withdrawal syndrome
,
Course
,
Family
,
Pervasive developmental disorder
,
Social phobia
pp.339-346
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101841
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はじめに
ひきこもりは長期にわたり,就学,就労などの社会活動に参加せず,自宅中心に生活する状態であるとされ,現代日本に固有の文化症候群あるいは社会現象として,海外のメディアでも取り上げられている4)。過去の報告によると,男性が約8割を占め,平均22歳で始まり,来所時には平均4年間のひきこもり期間を経ているため,個人と社会に与える影響は大きい3)。外部との接触を控える生活のため,正確な総数の把握は困難であるものの,23~41万世帯,23~129万人のひきこもり者が全国にいると推計されている3,12,15)。ひきこもりは精神疾患などの生物的要因と自立,依存に関する心理的要因,家族形態や雇用などの社会的要因が複雑に絡み合い,引き起こされる7,11,17)。一部は統合失調症や気分障害,不安障害,発達障害,パーソナリティ障害などの精神医学的診断を有するとされ,心理社会的支援と精神医学的治療の必要性が指摘されている8,10)。2003年には,全国の保健所と精神保健福祉センターへの調査をもとに,ひきこもりの概念と見立て,援助技法についてまとめたガイドラインが作成された11)。その中では,多くの場合,本人は受診,相談せず,家族の来所が先行するため,家族支援の重要性と有効性が強調されている。以降,一時点の実態調査と短期の縦断研究は集積されているものの1,6,8,9,12,16,20~22),依然として,中長期的な縦断研究は少ない。本稿で,我々は5年間に広島市精神保健福祉センターを受診したひきこもり例について,受診時の本人と家族の状況,経過をまとめ,考察した。
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