Japanese
English
短報
塩酸donepezilが奏効した低活動型せん妄の1症例
A Case of Hypoactive Type Delirium Improved by Donepezil Hydrochloride
櫛野 宣久
1
,
安藤 英祐
1
,
遠藤 由貴
1
,
尾形 和生
1
,
矢野 広
1
,
猪股 誠司
1
,
玉井 康之
1
,
松本 英夫
1
Nobuhisa KUSHINO
1
,
Hidehiro ANDOH
1
,
Yuki ENDO
1
,
Kazuo OGATA
1
,
Hiroshi YANO
1
,
Seiji INOMATA
1
,
Yasuyuki TAMAI
1
,
Hideo MATSUMOTO
1
1東海大学医学部専門診療学系精神科学
1Department of Psychiatry and Behavioral Science, Course of Specialized Clinical Science, Tokai University School of Medicine, Isehara, Japan
キーワード:
Donepezil
,
Hypoactive type delirium
,
Palliative care
Keyword:
Donepezil
,
Hypoactive type delirium
,
Palliative care
pp.879-882
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101488
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はじめに
せん妄は総合病院で多くみられる精神症状の1つであり,高齢患者,術後患者,ICU入室患者,がんやAIDSなど身体的重症度の高い患者に合併することが多く,有病率は入院患者の10~30%と推計されている1)。その基本病態は意識変容を伴う軽度の意識障害であり,多彩な症状を示し,しばしば不安やうつ状態などを呈することにより他の精神疾患との鑑別が困難である。このため,せん妄に対する適切な治療がなされていないことも多い9)。また,身体の状況により治療が困難であることも多く,特にがん患者においては治療に困難なせん妄がしばしば合併する2)。今回我々は,当初適応障害と診断した低活動型のせん妄であったがん患者に対し,塩酸donepezil(以下DPZ)が奏効した症例を経験したので報告する。なお,報告にあたって,口頭にて本人および家族の同意を得た。また,科学的考察に支障のない範囲で,プライバシーに配慮し症例の内容を変更した。
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