Japanese
English
特集 疲労と精神障害―ストレス-疲労-精神障害について
疲労とパニック障害
Fatigue in Panic Disorder
貝谷 久宣
1
,
岩佐 玲子
2
,
梅景 正
2,3
,
栃木 衛
2,4
,
山中 学
2,5
,
土田 英人
6,7
Hisanobu KAIYA
1
,
Reiko IWASA
2
,
Tadashi UMEKAGE
2,3
,
Mamoru TOCHIGI
2,4
,
Manabu YAMANAKA
2,5
,
Hideto TSUCHIDA
6,7
1医療法人和楽会パニック障害研究センター
2医療法人和楽会心療内科・神経科 赤坂クリニック
3東京大学保健管理センター
4東京大学医学部精神医学教室
5東京女子医科大学東医療センター内科
6医療法人和楽会なごやメンタルクリニック
7京都府立医科大学精神医学教室
1Warakukai Incorporated Medical Institution, Panic Disorder Research Center, Nagoya, Japan
2Warakukai Incorporated Medical Institution, Akasaka Clinic Psychosomatic Medicine
3Health Service Center, The University of Tokyo
4Department of Psychiatry, The University of Tokyo Hospital
5Department of Internal Medicine, Tokyo Women's Medical University Medical Center East
6Warakukai Incorporated Medical Institution, Nagoya Mental Clinic
7Department of Psychiatry, Kyoto Prefectural University of Medicine
キーワード:
Multidimensional Fatigue Inventory
,
Atypical depression
,
Serotonin
,
Prefrontal-limbic system
Keyword:
Multidimensional Fatigue Inventory
,
Atypical depression
,
Serotonin
,
Prefrontal-limbic system
pp.579-585
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101222
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
筆者らはこの15年間専らパニック障害の診療をしてきた。その中で,パニック発作が消失した患者が間もなく易疲労性を訴えることにしばしば遭遇し,それがこの不安障害の慢性期の大きな問題であると考えてきた。パニック障害と疲労との間にはなんらかの関係があると考え,文献検索を試みた。その結果,まず,米国精神保健研究所による疫学調査で,医学的原因の見つからない疲労を訴える患者は15.5%で,大うつ病,気分変調性障害,パニック障害,および身体化障害では疲労を訴える患者の割合が高いことがわかった26)。また,慢性疲労のある患者はない人に比べて精神医学的診断がなされる割合が高い(60%:19%)とする研究も見つかった27)。そして,パニック障害に関しては,Conneticuttのグループの研究が見出された。Manuら14)は慢性疲労を訴える200名の成人を調査して,そのうち13%はパニック障害であることを報告した。その後,彼らは対象を405名(女性が60%,平均年齢38.1歳,平均罹病期間6.9年)に増やし,精神医学的構造化面接を行った。その結果,74%の患者に精神医学的診断が判定された。その内訳は,大うつ病58%,パニック障害14%,身体化障害10%であった。そのうち30%の患者は慢性疲労症候群(CFS)の診断基準を満たしていた15)。これらの報告は慢性疲労を軸にして調査をしたものであるが,筆者らはパニック障害における疲労を検討した。そのうちの一部はすでに報告をしたが12),この報告結果も含めてこの研究全体の結果をここでまとめて報告する。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.