オピニオン 労災適用の問題
心的ストレスと労災―心療内科の立場から
山本 晴義
1
1横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター
pp.1198-1200
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101113
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はじめに
景気回復が軌道に乗ったといわれるものの,企業間競争の激化,成果主義の人事の広がりなど依然として労働者にとって厳しい環境が続いている。
こうした状況の中,仕事に関する強い悩みやストレスがあると答えた労働者が6割を超え,労働者の年間の自殺者数も8~9千人という高い水準で推移している。また,業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症,あるいは自殺したとして労災請求が行われる事案が増加している中で,国は「労働者の健康の保持増進のための指針」(2006年)を策定し,職場のメンタルヘルスケアの推進を図っている。
労災病院は,労働政策病院として,また指針で示された「4つのケア」の事業場外資源の一つとして,積極的に職場のメンタルヘルスを支援している。
具体的には,労災病院において,通常の診療とは別に,専門的な相談窓口を設け活動しているが,「勤労者心の電話相談」(20の労災病院で実施)や「メール相談」(e-mail:mental-tel@yokohamah.rofuku.go.jp)を無料で提供し,労働者の心のセーフティネットとしての役割を担っている。筆者はメール相談回答者として,現在まで2万件を超える労働相談に対応しているが,最近は長時間労働やハラスメントなどに絡む労災請求の相談も多くなってきている。
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