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はじめに
わが国の統合失調症患者に対する薬物療法において,多剤併用が一般的に行われていることはよく知られている。1996年から第2世代抗精神病薬が使用可能となり,その臨床特性から,わが国でも薬剤総使用量の減量が図れるのではないかと期待されていた。しかし,第2世代抗精神病薬導入後も依然,多剤併用投与が多数を占めていることが,冨田11)や,Itoら2)の処方調査により明らかになっている。わが国において多剤併用療法が一般化している背景としては,これまで数多くの総説6,9)が報告されており,さまざまな要因が絡み合っていると考えられている。1例として竹内と渡辺の総説10)における多剤併用の要因を表1に示した。
これまで,多剤併用療法の改善に対する取り組みとしては,大規模な処方調査3,7,15)が行われ,多剤併用療法の背景を探ると同時に,減量・単剤化技法の研究8,13)や,EBM(Evidence-based Medicine)を背景とした治療ガイドライン・薬物アルゴリズムの導入も行われている11)。このように多剤併用療法の問題点が多数の総説で喚起され,減量単剤化の取り組みが行われているにもかかわらず,多剤併用は改善されていない。その理由として,Itoらは医師のアルゴリズムに対する懐疑的な態度と看護師の薬剤増量要求が関与していると指摘し,医師および看護師に対する研修が必要であると述べている2)。また,風祭は薬物療法に並行して患者に対する心理社会的治療の必要性を説いている4)。
米国では,「精神科薬物療法管理アプローチ(Medication Management Approaches in Psychiatry,以下MedMAP)」という効果的な管理モデルが提示され,普及がすすめられている。現在我々は,MedMAPの普及が日本の多剤併用療法の改善の一助となると考え,導入を計画している。以下にその概要を紹介する。
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