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精神医学における日本の業績
渡辺栄市の業績
Eiichi Watanabe's Contribution to Experimental Study on Physiopathogenesis of Epileptic Convulsive Seizures
清野 昌一
1,2
,
Juhn A. Wada
3
Masakazu SEINO
1,2
,
Juhn A. Wada
3
1てんかんセンター
2国立療養所静岡神経医療センター
3University of British Columbia Hospital Neurosciences and Neurology
1National Epilepsy Center
2Shizuoka Medical Institute of Neurological Disorders
3University of British Columbia Hospital Neurosciences and Neurology
pp.437-444
発行日 2003年4月15日
Published Date 2003/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100888
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まえおき
渡辺栄市は,精神病院関係者の間では函館渡辺病院の開設者として知られているが,1936年に同氏が発表した原著論文「癲癇性痙攣発作ノ脳病理組織学並ニ成因ニ関スル実験的研究」7)が,30年後の1960年代になって提唱された燃え上がり(キンドリング)現象に関連した実験研究の始まりであったという事実は,わが国のてんかん研究者の間でもよく知られていない。題名が示すようにこの研究は,てんかん脳の形態学的変化の解明を目的として行われた1)。当時渡辺は,この実験研究が今日いう燃え上がり効果現象に類似するという意義について気付いていなかったと思われる。本稿では,この原著論文の中から主目的であった組織病理学的所見を割愛し,燃え上がり現象に関連するけいれん発作発現の様態に関する記載を紹介し,本論文が後のてんかん研究に持つ歴史的意義を概説する。
渡辺栄市は1905年,北海道枝幸に生まれ,31年北海道帝国大学医学部を卒業,同大精神病学教室(内村祐之教授),36年同論文により医学博士を取得,37年同教室講師,39年函館に渡辺医院を開設,同院は54年医療法人渡辺病院となる。65年日本精神病院協会会長,75年中央精神衛生審議会委員,76年勲二等瑞宝章を授与され,88年・去。享年83歳。この間,北海道精神病院協会,精神薄弱者育成会,精神衛生協会会長等を歴任した。
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