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特集 統合失調症と認知機能―最近の話題
統合失調症の認知機能異常と神経画像所見
Cognitive Abnormalities and Neuroimaging Findings in Schizophrenia
平安 良雄
1
Yoshio HIRAYASU
1
1横浜市立大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Yokohama City University School of Medicine
キーワード:
Schizophrenia
,
MRI
,
Event-related potential
,
Cognition
Keyword:
Schizophrenia
,
MRI
,
Event-related potential
,
Cognition
pp.1263-1269
発行日 2003年12月15日
Published Date 2003/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100746
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はじめに
統合失調症は幻覚,妄想,思考解体などの陽性症状や感情鈍麻,無為,自閉といった陰性症状を示し,社会機能の低下に至る精神疾患である。しかし,その病因や病態に関してはいまだ不明な点が多い。いまから100年以上も前にKraepelinは特徴的な精神症状を有する疾患群を早発性痴呆と名づけ,さらにその病態は大脳皮質の器質的な変化によるものという仮説を立てた。しかし,死後脳を用いた病理学的な研究では統合失調症に特異的な病変を見いだすことはできていない。近年の神経画像技術の進歩は,活動している脳の構造や働きを観察することを可能にし,正常な脳の形態・機能の理解のみならず統合失調症などの精神疾患の病態研究を可能にした。Andreasenら1~3)は多くの神経画像研究の結果に基づき,統合失調症とは個々の神経細胞間のネットワーク障害に基づく神経機構の基礎的および二次的な認知障害を本体とする疾患であるという仮説を提唱している。基礎的認知障害とは聴覚や視覚などから入力された知覚刺激に対する認知障害であり,二次的障害は知覚刺激を処理することによって得られる注意,言語,記憶などの障害である。これらの認知障害によって修飾された臨床症状が統合失調症の特徴となる幻覚,妄想,思考解体や陰性症状と考えられている。本稿では,精神生理学的検査によって明らかにした統合失調症の認知機能異常を筆者らの知見に基づき解説し,さらにMRIによって得られた形態学的異常との関係について考察を加えた。
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