Japanese
English
研究と報告
病態仮説に基づく治療モデルの実施で改善した,うつ状態に伴う音楽性幻聴の1例
A Case of Musical Hallucinations with Depressive State Effectively Treated with Therapy Based on the Pathophysiological Theory
國井 泰人
1
,
岡野 高明
1
,
丹羽 真一
1
Yasuto KUNII
1
,
Takaaki OKANO
1
,
Shin-ichi NIWA
1
1福島県立医科大学医学部神経精神科学講座
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Fukushima Medical University
キーワード:
Musical hallucinations
,
Carbamazepine
,
Depressive state
,
Deafness
,
SPECT
,
single photon emission computed tomography
Keyword:
Musical hallucinations
,
Carbamazepine
,
Depressive state
,
Deafness
,
SPECT
,
single photon emission computed tomography
pp.973-981
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100732
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
抄録
増悪と軽快を繰り返すうつ状態の経過のうち,音楽性幻聴が出現した高齢難聴女性の症例を経験したので報告する。本症例は計15回の入院歴,約30年の経過を持つうつ状態で,ほぼあらゆる抗うつ薬,抗精神病薬に抵抗性であり,加えて2年前より口部ジスキネジアが出現,同時期より「口の中から歌が出る」という音楽性幻聴がみられるようになった。今回入院後検査所見をもとに病態仮説を構築,それに基づきカルバマゼピン投与を中心とした治療モデルを実施したところ,音楽性幻聴の改善が認められ,それに伴いSPECT所見において症状発現時期にみられた,縁上回,角回を含む右側下頭頂小葉から上側頭回にかけての領域の血流増加が消失した。また興味深いことに本症例でみられた音楽性幻聴はHRSDスコアの値と相関を示し,うつ状態との関連が示唆された。本稿では本症例でみられた音楽性幻聴の発現機序について,得られた検査所見,臨床所見をもとに考察し,またそれに基づく治療について論じた。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.