Japanese
English
短報
抗うつ薬投与中に音楽性幻聴を呈したうつ病の2例
Musical Hallucinations in Two Cases with Depression during Antidepressant Treatment
寺尾 岳
1
,
上野 麻里子
1
Takeshi TERAO
1
,
Mariko UENO
1
1産業医科大学精神医学
1Department of Psychiatry, University of Occupational and Environmental Health, School of Medicine
キーワード:
Musical hallucinations
,
Antidepressants
,
Imipramine
,
Maprotiline
Keyword:
Musical hallucinations
,
Antidepressants
,
Imipramine
,
Maprotiline
pp.989-991
発行日 1995年9月15日
Published Date 1995/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903954
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音楽性幻聴を生じやすい要因として,女性であること,高齢であること,聴力障害があること,劣位半球に脳腫瘍や脳梗塞などの病変が存在することを,Berrios1)は指摘した。さらに最近では,三環系抗うつ薬投与中に音楽性幻聴を認めたとする症例報告2,4,5)が散見される。しかしながら,このような症例のほとんどが聴力障害を合併した高齢女性であり,三環系抗うつ薬が音楽性幻聴の主要因であったのか否かは明らかでない。
最近筆者らは,抗うつ薬開始後に音楽性幻聴を呈したうつ病患者2例を経験した。いずれも男性であり,Berrios1)の指摘した要因をまったく有さない点で,三環系抗うつ薬の副作用としての音楽性幻聴を強く示唆するものと考えられた。このうちの1例3)はすでに報告したが,さらにもう1例を経験したこと,本邦においてこのような報告はないことから,若干の考察を加え2症例として報告する。
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