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研究と報告
分裂病の音楽幻聴(第2報)—33症例からの再確認と要素・言語幻聴との関連
Musical Hallucinations in Schizophrenia, 2 nd Report: Reconfirmation from 33 cases and relations with elementary and verbal hallucination
馬場 存
1,2
,
濱田 秀伯
1
,
古茶 大樹
1
Akira BABA
1,2
,
Hidemichi HAMADA
1
,
Hiroki KOCHA
1
1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
2武蔵野中央病院
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicille, Keio University
2Musashino Chuou Hospital
キーワード:
Musical hallucination
,
Verbal hallucination
,
Elementary hallucination
,
Pseudohallucination
,
Schizophrenia
Keyword:
Musical hallucination
,
Verbal hallucination
,
Elementary hallucination
,
Pseudohallucination
,
Schizophrenia
pp.45-52
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902145
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【抄録】 ICD-10の診断基準を満たした33例の精神分裂病患者に認めた音楽幻聴について,症候学的な立場から検討を加えた。症例の構成は男性24例,女性9例,年齢は21〜64歳(平均37.6歳)である。抽出された音楽幻聴48エピソードの持続期間は多様で,分裂病のいずれの時期にも出現し,9エピソード(18.8%)が診断前に認められた。全エピソードを第1報に示した3つの病期に区分することができ,第1期17(35.4%),第2期5(10.4%),第3期26(54.2%)で第2期の出現した例は少なかった。38エピソードの音源が内部主観空間に定位し,大半が聞き慣れた内容で,聞き覚えのないメロディは3エピソードにすぎない。7例が音楽幻聴の前後に要素幻聴を伴い,一部に記憶表象とみなしうるものもあった。第2期は考想化声を伴い,歌詞を伴う音楽幻聴は被影響性の,歌詞のないメロディには新たに言語性の変化が加わった。分裂病の音楽幻聴は記憶表象から始まる仮性幻覚で,病勢に応じて真性幻覚に移行する可能性を持つ。我々は3つの病期をおよその進展と病態水準を示すものと考えた。
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