巻頭言
1.5次予防のメンタルヘルスケア
水野 雅文
1
1東邦大学医学部精神神経医学講座
pp.4-5
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100367
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脱施設化を成し遂げた欧米諸国を中心に,統合失調症の臨床研究の関心が初回エピソードやいわゆる前駆期(prodromal phase)に向かっている。地域におけるケアが根づいたイギリスやオーストラリア,北欧諸国から次第に高まり,今日では諸外国における臨床精神医学の一大流行となってきた感さえある。2年ごとに開かれる専門の国際学会International Early Psychosis Associationの学術集会も今年ですでに第4回を迎え,来春にはEarly Intervention in Psychiatry誌の創刊も予定されている。
今日早期介入(early intervention)といえば,early psychosisの語が示すように,統合失調症やうつ病のような本格的な精神病状態に至る以前の,前駆期における早期発見や早期治療を意味している。早期介入への急激な関心の高まりの背景としては,精神病未治療期間(DUP;Duration of Untreated Psychosis)の長さと治療転帰との密接な関連を示唆するエビデンスが多く集積されてきたことと,発症から5年程度とされる治療臨界期(critical period)に対する理解の広がりがあるように思われる。
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