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はじめに
この特集は昨年11月東京大学加藤進昌教授主催第10回日本神経精神医学会のシンポジウムの一つとして上記題のもと取り上げられた内容である。ちょうどこの学会の理事長を小阪先生から引き継いだところで,「広汎性発達障害をめぐって」というシンポジウムの他に本学会の特色を出した何か話題の異なるシンポジウムを組んでほしいという加藤先生のご好意により,小阪先生と相談し実現したものである。
以下がその際に加藤先生にお送りした文面である。その背景の臨場感があるのでそのままここに示す。“もし一般演題で適当なテーマがなければ,軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)との絡みで辺縁系神経原線維変化痴呆(Limbic Neurofibrillary Tangle Dementia;LNTD)を取り上げてはいかがか,という案が出ました。これはアメリカを中心にMCI,特に記憶が障害される場合を単純にADとの関係でとらえる,という姿勢に警鐘を鳴らす意味もあります。なぜならば,老年期痴呆,特に高齢者では進行性の健忘が中心で後方症状が目立たず人格的な崩れもあっても強くはない一群が,現にかなりの数でみられ,これら臨床的に単純型老年期痴呆(simple senile dementia)とよばれる症例の中にLNTDが確実に含まれている。そしてLNTDでは老人斑はほとんどみられない,したがってLNTDはADとは別個に扱うべきである,加えてsimple senile dementiaという臨床診断が下される一群は経過もゆっくりで,アルツハイマー化が比較的速やかに起こる症例とは予後も違う,あるいは対応の仕方が異なる,という背景があります”。
筆者が言いたいことはこの一文に凝縮されているので,以下要点のみを述べる。なおMCIとLNTDについての詳細は本特集の他の論文を参照していただきたい。
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