悪性症候群の血液生化学的検査所見と重症化指標

Neuroleptic Malignant Syndrome：Laboratory findings and aggravation factors

抄録

　悪性症候群の患者の252回の血液生化学的検査値を多角的に検討した。悪性症候群群では，発病前のCPKの平均値は対照群より73.1％高く，GOTは23.0％高かった。経時的変動では，CPKは，第1病日から第3病日の間に最大値を認め，発症前の17.0倍に上昇したのち，急速に正常値に回復していた。アルブミンは，悪性症候群開始から徐々に低下し，悪性症候群の終了近くに最低値を示し，終了後1か月を経ても元の水準に回復しなかった。経過中に5％以上アルブミンが減少した症例が88.6％あり，開始前より平均で18.6％減少していた。アルブミンの最低値は，体温が37.5℃以上の日数などの重症化指標と有意な相関がみられた。