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シンポジウム 精神医療システムの改革:その理念とエビデンス
社会的入院患者の退院促進に向けた大阪府の取り組み
Osaka Prefectural Government's Program to Help Inpatient with Social Reasons Discharge from Hospital
吉原 明美
1
Akemi YOSHIHARA
1
1大阪府こころの健康総合センター
1Osaka Prefectural Mental Health Center
キーワード:
Inpatient
,
Social reasons
,
Discharge promotion
,
Support members
,
Government program
Keyword:
Inpatient
,
Social reasons
,
Discharge promotion
,
Support members
,
Government program
pp.1353-1361
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100161
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はじめに
2004(平成16)年9月の厚生労働省精神保健福祉対策本部による「精神保健医療福祉の改革ビジョン」では,「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な考え方が打ち出され,中でも約7万人の「受け入れ条件が整えば退院可能な人」の退院を進めていくことが重要な課題とされている。大阪府では2000(平成12)年度から社会的入院解消研究事業として退院促進に取り組んできた。1999(平成11)年3月,大阪府精神保健福祉審議会による「大阪府障害保健福祉圏域における精神障害者の生活支援施策の方向とシステムづくりについて」の答申1)が提出された。1997(平成9)年4月の知事の諮問を受け審議を重ねていたが,同年9月に「大和川病院事件」が表面化し,答申内容も精神障害者の人権に踏み込んだものとなった。答申では,病状が安定しているにもかかわらず地域のおける受け皿がないために退院できないという社会的入院は精神障害者に対する人権侵害であると位置づけており,「社会的入院を解消するためには,一人ひとりの生活支援計画を策定し,地域の中での支援体制の確立を図るとともに,院内においても試験外出や試験外泊などの準備作業に取り組む必要がある」と提言している。この答申を具体化するため,2000(平成12)年,大阪府は退院促進支援事業を創設すると同時に,自立支援促進会議を障害保健福祉圏域ごとに設置した。ここでは,退院促進支援事業および自立支援促進会議の概要を紹介し,2000(平成12)年度~2003(平成15)年度の事業を報告し,課題および今後の方向性を探る。
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