オピニオン 心療内科と精神科の住み分け
心療内科と精神科のかかわり―両科の共通点と相違点
久保 千春
1
,
千田 要一
1
1九州大学大学院医学研究院心身医学
pp.235-237
発行日 2005年3月15日
Published Date 2005/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100024
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はじめに
心身症は,「身体疾患の中で,その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し,器質的ないし機能障害が認められる病態をいう。ただし,神経症やうつ病など,他の精神障害に伴う身体症状は除外する」と定義2)されている。このように,心身症は器質的疾患と機能的疾患の両方にまたがっており,心療内科では,主に内科領域の心身症を対象疾患(表1)としている。しかし,現代日本では,高度情報化社会,経済不況,核家族化など複数のストレス因子が相まって,うつ病や不安障害がこれまでになく急増し,精神科だけでなく,心療内科でもこれらの精神医学的疾患を診療することが多くなってきている。さらに,副作用が少なく効果発現が早い向精神薬の開発が進んだため,精神医学的疾患の初期や軽症の患者は,精神科より,心療内科に行ってしまうことが稀ではなくなっている。このような状況下,心療内科と精神科の区別に関して,患者やマスコミだけでなく,医療従事者においても混乱していることが少なくない。そこで,本稿では,心療内科の理論基盤である心身相関について触れ,それぞれの対象疾患や治療法を詳しく述べることで,心療内科と精神科の共通点と相違点について浮き彫りにしていきたい。
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