Japanese
English
綜説
高コレステロール血症に対する食事療法の基礎—生体内コレステロール代謝と食事の影響
Bases of the Diet Therapy for the Hypercholesterolemia:Effects of dietary lipids on in vivo cholesterol metabolism
小薗 康範
1
Yasunori Osono
1
1慶應義塾大学医学部老年科
1Department of Geriatric Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.1150-1156
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901156
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過去20年余りの間に,高すぎる血清コレステロール,とくにlow density lipoprotein choles—terol(LDL-C)が動脈硬化の発症・進展に密接に関連していることが明らかとなった.しかし,現在なお,何歳から,あるいは何歳まで,血清LDL-C濃度をどの程度低下させたらよいのかははっきりしていない.本稿では,こうした問題に対する答えを出すための基礎的データとして,生体におけるコレステロール代謝について,GShamsterのデータを中心に食事の影響を含めて概観する.
一般的に生体内における物質の流れを検討する場合,その物質のinputとoutputとを測定する必要がある.しかし,その物質の体内蓄積量が一定なsteady stateでは,物質のinputとoutputとは等しく,どちらか一方がわかれば,他方を調べる必要はなくなる.コレステロールの場合,生体全体で考えると,inputには生体内での合成と食事からの吸収しかなく,胆汁酸の腸肝循環など複雑な問題を抱えるoutputに比べてはるかに単純である.各臓器ごとにみた場合も,inputには,その臓器で合成されるコレステロールと,リポ蛋白(おもにLDL-C)の形で取り込まれるコレステロールとの2種類しかなく,定状状態ではコレステロール合成と,LDL取り込み(臓器ごとにみる場合)またはコレステロール吸収(生体全体でみる場合)を計測すれば,コレステロールの流れが把握できるわけである.
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